Flash Player 16 と Adobe AIR 16 の新機能と 64 bit iOS アプリ

今回は、昨年 12 月に公開された Flash Player 16 / AIR 16 の新機能を紹介します。

そのまえに、

ユニバーサルバイナリー対応のパブリッシュエンジンのベータ版

Adobe Labs に公開されている AIR 16 のベータ版についてのお知らせです。

2015 年の 2 月から App Store に提出する iOS アプリに 64 bit サポートの義務化がアナウンスされたことに対応し、AIR SDK 16 のアップデートとして、32 bit と 64 bit の両方で動作する IPA を生成する機能が追加される予定です。

この新しいパブリッシュ機能を含む SDK は、既にベータ版として Adobe Labs に公開されています。来月以降にアプリ申請を予定している方は、お早めに問題がないかお試しください。

64 bit に対応しているのは新しい高速化されたコンパイラーだけです。そのため従来のコンパイラーは SDK から削除されることになりそうです。その際、ADT の-useLegacyAOT オプションは指定してもエラーにはならないものの無視されることになるとのことです。

また、64 bit 対応のコンパイラーはいまのところ Mac 版の SDK のみでの提供となります。ご注意ください。

Windows と Mac 用 PPAPI インストーラー

ということで、改めて Flash ランタイム 16 の新機能です。SWF のバージョンは 27 です。

ます、PPAPI プラグイン用のインストーラが Windows と Mac の両方で提供されます。PPAPI プラグイン は、これまでも Chrome の一部として提供されていたので、その他の環境のための公開ということになります。 (Chrome は今後も引き続き Flash Player 込みで配布されることになってます)

PPAPI 用のインストーラーは http://get.adobe.com/flashplayer/otherversions からダウンロードできます。

Opera や Chromium 用にデバッガーが必要な場合は、Adobe Flash Playerサポートセンターからダウンロードできます。

Stage3D に Standard Constrained を追加

Flash ランタイムのバージョン 14 ではデスクトップ環境に Stage3D の新しいプロファイル Standard が追加され、バージョン 15 ではモバイル環境にも対応しました。

さらに、ラインタイムのバージョン 16 では Standard Constrained というプロファイルも利用可能になりました。Context3DProfile クラスに STANDARD_CONSTRAINED コンスタントが追加されています。

Standard Constrained は Standard の機能を一部省略した仕様で、代わりにより多くの環境で利用できます。例として iOS デバイスの場合、昨年の終わり頃で Standard 対応機器が 20% ちょっとですが、Standard Constrained 対応だと 9 割弱まで増加するそうです。

下の図は、従来使われていた Baseline 系プロフィールとの機能比較です。左側から、Baseline Constrained、Baseline、Baseline Extended、Standard Constrained、Standard の順です。

stage3dprofiles.png

 

やや機能が省略された Standard Constrained でも、以前は最強だった Baseline Extended より高機能なようです。特にレジスター数の増加は目を引きます。

新しい AGAL のアセンブラを試してみたい人は GitHub から入手できます。 (adobe-flash/graphicscorelib@GitHub

上の表の範囲では、レジスター数の差を除けば、Standard Constrained と Standard の差は以下の 2 つの機能の有無です。

  1. Multiple Render Texture (MRT)
    • 最大同時 4 つまでの出力先に同時に描画できる
    • 全てのターゲットが同じサイズとデータフォーマットであること
    • アンチエイリアスは無視される
    • バンド幅の狭いモバイル環境では高精度のフォーマットに必要なデータ量に注意
  2. Fragment depth output
    • ピクセルシェーダーの新しいレジスター fd を使い、頂点シェーダーの z 値を上書きできる
    • 処理コストが高いオペレーション

これだけならば、あまり無理して Standard を使わなくちゃという感じでもなさそうですね。4k も使えますし。

 

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