ADC (Adobe Developer Connection) の Flash Player のロードマップが更新されました。今後 1 ~ 2 年の計画が書かれています。 (Adobe roadmap for the Flash runtimes)
公開されているロードマップは、あくまで現時点での考えであり、大きく変わる可能性があります。そのため、必要に応じて今後も更新されるそうです。最新版のロードマップには、adobe.com/go/flashplayer_roadmap からアクセスできるようになっています。
かなり長いので、今回は実行環境の方向性だけまとめます。全体を通してのポイントは以下の 2 点です。
- Flash 実行環境は、ゲームやビデオ再生に必要な機能にフォーカスして開発を行う (他をまったく無視するわけではない)
- 実行環境のアーキテクチャーと言語の変更を行う。これにより今後 10 年は Web でもモバイルでも、最もリッチな体験を提供できる環境を目指す
それでは、以下が、今後開発が予定されている Flash Player の情報です。
Flash Player 11.2
Flash Player 11.2 は、今年の第一四半期に公開が予定されているバージョンです。既に、ベータ版が公開されています。 (Flash Player 11.2 と AIR 3.2 ベータ 4 公開)
主要な機能は、ゲームやビデオに必要とされるものになっているそうです。以下が主な新機能の一覧です。
- マウスのロック機能
- 右ボタンと中ボタンクリックのサポート
- コンテキストメニューの非表示
- iOS と Android での Stage3D によるハードウェア描画 (AIR により実現)
- より多くのビデオカードをサポート
- フレームレート変更を知らせるイベントの追加
- ビデオでコードのマルチスレッド化
Flash Player "Cyril"
Flash Player 11.2 の後には "Cyril" とよばれるバージョンが予定されています。今年の前半に公開が予定されています。
こちらは、ゲーム業界からのリクエストに加えて、開発者からのリクエストも一部対応するバージョンだそうです。
Cyril で追加される主な機能は以下の通りです。
- フルスクリーン再生時のキーボード入力のサポート
- 遅延の少ない改善されたオーディオ再生機能
- Stage3D コンテンツ用のテクスチャをプログレッシブストリームする機能
- ByteArray の LZMA 圧縮サポート
- フレームラベルイベントのサポート
Flash Player "Dolores"
そして、今年後半には "Dolores" と呼ばれるバージョンが控えています。このバージョンは、ゲームだけでなく、一般的なユースケースに必要とされる機能が数多く追加される予定です。
主な新機能のリストは以下の通りです。かなり大きな機能変更が入ります。
- ActionScript workers (同時に複数のスクリプト実行を可能にするスレッド機能)
- 先進的なプロファイル機能の実現
- より広範囲なビデオカードのサポート (2005/2006 年までサポートする予定)
- iOS 上での ActionScript パフォーマンスの改善
- コンテンツ実行中の環境の再生能力を通知する API の追加
- 外でのマウスリリースを通知する API の追加
Flash Player "Next"
以上の 2012 年に公開が予定されるバージョンに加えて、今後 10 年は開発者の要求にこたえられるよう、Flash Player の根本的な見直しが行われています。これは Flash Player "Next" と呼ばれています。
主要な項目は、
- Flash Player のコードのリファクタリングと現代化
- AVM (ActionScript Virtual Machine) の改良
です。これらは、スクリプトの実行パフォーマンスを "著しく" 向上させるためのもので、2013 年以降の公開が予定されています。
ActionScript "Next"
Flash Player "Next" の作業には ActionScript "Next" も含まれます。2006 年登場以来の開発言語の変更がありそうです。
次世代の ActionScript の設計のポイントは、以下のように説明されています。
-
静的な型をデフォルトに、動的な型はオブションに
現在の AS3 では、多くのケースで型が動的な型として扱われるため、静的な型であれば実現されるような利点 (高速化など) を受けられません。これが、明示的に指定しない限り、静的な型として扱うよう変更されます -
型処理の改善
変数の型宣言は本当に必要なときのみでよく、通常は省略することが推奨されるようになります。その場合でも、コンパイラが自動的に適切な型を判断して、静的な型宣言がされた場合と同様に扱われるとのことです (たぶんこれ) -
ハードウェアの数値型との一致
現在は、AS3 の Integer が実際には浮動小数点として扱われているという場合があります。この (暗黙の) 変換はパフォーマンスへの影響が大きいことが分かっています。"Next" では、常に AS 側の表現と実際の数値表現とが一致するようになるようです
ActionScript "Next" は ActionScript 3 からの発展です。完全な互換性は無くなる模様ですが、AS2 から AS3 のときのような、大きな変更にはならないようです。また、ツールによるマイグレーションのサポートも検討されているとのことです。
AS3 コンテンツは引き続き実行が保証されるとのことです。Flash Player "Next" では、AVM が 3 つになるってことですね。
>>フレームレート変更を知らせるイベントの追加
>>フレームラベルイベントのサポート
この二つの実装は凄くいいですね。ゲーム作りの際に非常に役立つと思います。また、本格的ゲームが作れるほどの処理速度の向上は非常に楽しみです。
ただこれらはFlash Plaeyer11からのものなのでAndroidでの再生が難しいのがネックですね。
Androidで見れるコンテンツでありたいので、やはりAndroid版Flash Playerの開発中止は愚策としかいいようがないですね。
やはりAndroid版の開発再開してほしいです。
ただ新機能追加やゲーム制作を前提としたハイパフォーマンス化は凄く期待しています。新世代Flashで作っていきたいので、Flashで見れる端末がもっと増えると嬉しいですね。
Androidの件で最近のAdobeに不信感はありますが、今後のFlashのアナウンスは実にすばらしいのでこれからも期待しております。