半年振りに Apache Flex のアップデートが公開されました。短期間に更新を繰り返す最近流行の開発に比べるとゆっくりですが、4.10.0 とマイナーアップデート扱いの割にはいくつも更新が行われています。最新のランタイムに対応し、200 以上のバグ修正も行われました。
インストーラーも新しくなり、GUI からターゲットとするランタイムのバージョンを選択すると、必要な設定が勝手に行われる便利な仕様になっています。インストーラーの入手先はこちらです。
ソースコードとドキュメントも公開されています。ドキュメントはまだ怪しいところもあるようですが。
なお、Flash Builder 4.7 / 4.6 で、Apache Flex 4.10.0 SDK を使用する新規プロジェクトに MXML ファイルを生成すると、以下の行を勝手に挿入してしまうというバグが判明しています。
layout="absolute"
対処方法は、"この記述を削除すること" だそうです。Flash Builder のバグとしての登録はされているとのことです。
主要な新機能
以下が、今回のアップデートで追加された主要な新機能の一覧です。
- Adobe Scout を使ったプロファイルをサポートするためのコンパイル用ツールの変更
- 480 dpi のスキンをサポートし Retina に対応
- DataGrid の新機能:行やカラムのロック、マルチカラムのソートなど
- DataGrid のダブルクリックモード (行、カラム、セル、テーブル)
- DataGrid, ComboBox, List, TabBar 等の新しいナビゲーション
- Spark ButtonBar と TabBar の新機能 (enable/disable、切り替えの禁止)
- Advanced DataGrid のパフォーマンス改善と動的なエラーの修正
- 各国語へのローカライズ強化、フォーマット (日付、数値など) の追加
より詳しくは、リリースノート (英語) をご覧ください。
(実験的な) Spark コンポーネント
新しく 15 の Spark コンポーネントが追加されました。ドキュメントによっては 「実験的な」 という位置づけにされているので、まだテストが不十分である可能性は高そうです。
また、何が 15 なのかもドキュメントによって異なるようです。ともあれ、Spark アーキテクチャーで使用できるコンポーネントが一気に増えたのは喜ばしい限りです。
追加されたコンポーネントは、
- Accordion, DataAccordion
- InlineScroller
- AccordionLayout, CarouselLayout, CoverflowLayout, StackLayout
- CallOut, CallOutButton
- Alert
- ColorPicker
- MenuBar, Menu
- ProgressBar
などがあるようです。こちらの GitHub リポジトリに公開されているのが新規追加された分だと思われます。
ランタイムの対応状況
Apache Flex 4.10 は Adobe Flex の最後のリリースである 4.6 と互換とされています。今回、古いランタイムのサポートが追加されたことで、実行環境の更新ができないケースでも、SDK のみ最新版を利用することが可能になりました。
サポートされる Flash Player のバージョンは、10.2 から 11.8 まで、とずいぶん増えました。SDK のデフォルトが 11.1 なのは相変わらずですが、セキュリティや安定性の理由から、最新版の使用が推奨されています。
AIR に関しては、2.6 から 3.8 までがサポート対象となっています。
コメントする