Flex の今後の方向性

Flex チームのオフィシャルブログに、今後の Flex の目指す方向についての投稿がありました。 (where we are headed

詳しいロードマップは、来月の頭に Los Angeles で行われる MAX で話されるようですが、興味深い点もあったので、参考までにかいつまんで中身を紹介します。

まず、

現状について

「Flex 4.5 が出荷されて 3 ヶ月程が経過したが、特に Android/iOS/BlackBerry Tablet OS への対応に対するフィードバックは好意的なものだった。同じツールとコードを使いまわして複数のデバイス向けのアプリを作れるだけでなく、Web やデスクトップにも対応できることは高く評価されている」

という認識を元に、次バージョンのプランが作られた、という話から始まります。

「年内に、主にモバイルアプリケーション開発に関する小さなアップデートが行われる予定である」 そうですが (AIR 3 対応?)、その一方で、「その次の大きなアップデートの作業も既に始まっている」 ことが明記されています。

では、大きなアップデートの具体的な方向性は?という話ですが、

Flex の役割が変わったこと

Flex が最初にマーケットに登場してから、その使われ方が変わりつつあるという認識があるようで、

「Flex は RIA すなわち豊かなユーザー体験をブラウザー内で実現するために広く使われてきた。E コマース、E ラーニング、金融系など多くの分野で Flex アプリケーションが構築された」

しかし、今は大きな転換点にあるとの見方が続き、

「今日では、従来 Flex が使われてきたいくつもの分野で HTML5 関連の技術が使われるようになった。アドビ自身も、Edge や Muse といった、その流れを支援する新しいツールを提供しようとしている」

と、単純に 「豊かな体験」 を提供するだけであれば HTML5 の方が適切な場合があることを認めています。

一方で、

「Flex チームが、多くの企業から要求されていた、成熟したフレームワーク、強力な開発環境、パフォーマンスといった観点から、HTML5 が正しい選択にならないこともあるだろう」

という発言をしています。つまり、大規模な、あるいは複雑なアプリケーションを開発/運用する技術として、まだまだ HTML5 は (HTML では無いです、念のため) 未成熟という見方です。

当然のように、今後エンタープライズ向けの要件を満たすことが優先課題とされていて、

「Spark コンポーネントの拡充、パフォーマンス解析ツールの提供、次世代コンパイラーの採用などが行われるだろう」

より詳しくは、MAX で、だそうです。

モバイルデバイスの台頭について

さて、もちろん、企業アプリケーションだけでなく、モバイルデバイス向けの開発も大きな柱とされています。大きなものから小さなものまで、となかなか欲張りです。

こちらの注力点としては、

「ランタイムのパフォーマンス、ネイティブライブラリとの連携、新しいコンポーネントの追加、スキン設定方法の改善、プラットフォームの追加、ツール連携の改善」

などが挙げられています。ネイティブアプリケーションじゃなければできない、という場面を減らすことが、次のアップデートの主要な目的になるようです。

実際にモバイルデバイスの普及が進む中で、

「デバイス向けの開発機会が増加して、新しく Flex に注目する開発者が増えている」

そうで、Flash Builder トライアル版のダウンロード数は過去最高であるという話も触れられています。

改めて Flash について

最後に Flash をベースとする技術であることについて、

「Flash に関して、最近いろいろな疑念が話されている。しかし、我々は、Flex で何ができるのかを示すことに注力してきた」

ということで、論より証拠という戦法のようです。

「エンタープライズ向けには、Customer Experience Managemet というアドビのソリューション (日本ではあまり知名度がないかもですが) のコアとして、大規模な組織でも有効な技術であることを示した」

「モバイル向けには、既に数百のアプリがアプリケーションストアで公開され、そのうちのいくつかはストアのカテゴリーのトップの位置を占めている。今年の後半には、成功したモバイル Flex 事例のケーススタディーを充実させる予定だ」

ということで

今後も使い易いアプリケーションの実現という基本を守りつつ、様々なデバイスのサポートと、大規模開発への対応を推し進める、という方向が見えてきます。

確かに、モバイル系の競合技術に対して、開発環境も含めた成熟度では Flex に一日の長がありそうです。大規模開発にも使いやすくなれば、デスクトップもモバイルも Flex というケースは増えてくるかもしれません。

ちょっと、この先の話に興味を持ったという方は、10 月の 2 日~ 5 日に開催される Adobe MAX にご注目下さい。

 

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