先週の Adobe MAX 2010 で発表された Flash Player の 3D API (コード名 "Molehill") の情報が Adobe Labs に公開されています。 (3D APIs for Adobe Flash Player and Adobe AIR@Labs)
Molehill は GPU を活用した本格的な 3D 描画を実現する API です。HD の解像度に秒 60 コマで数十万ポリゴンを描写することが可能になるそうです。
Molehill は、パフォーマンスを重視して、ごく低レベルの API (ほぼアセンブラ)となっています。一般の開発者に対する使いやすさはあまり考慮されていません。通常は、Alternativa3D や Away3D といったフレームワークを経由して利用することになるでしょう。Adobe からは、PixelBender の 3D 対応版が提供される予定です。
Molehill の API によりアクセスできるようになる機能としては、Z バッファ、ステンシルバッファ、カラーバッファ、フラグメントシェーダ、頂点シェーダ、キューブテクスチャなどがあります。前提となる環境は、Windows では DirectX 9、Mac と Linux では OpenGL 1.3 です。モバイル環境では OpenGL ES 2.0 が前提です。
サポートされない GPU 環境では、ソフトウェアによる描画機能にフォールバックします。その際に使われるのは、TransGaming の SwiftShader です。
Molihill のパブリックベータは、2011 年の前半を予定しているとのことで、正式に Molehill がFlash Player や AIR 上で利用できるようになるのは、少し先のことになりそうです。ベータ期間中は、Flash Builder と Flex SDK が 3D の開発に対応する予定、とのことです。
既存の 3D API について
ところで、既に Flash Player 10 から 3D の API が追加されていますが、こちらは 2D のコンテンツに 3D 効果を適用するためのものです。機能は限られていますが、簡単に 2D オブジェクトの 3D 空間への投影が実現できます。
これに対して、Molehill は 3D モデルの作成から始めることになり、本格的ですが使うには手間のかかる API です。なので、Molehill が実装されても、現在の 3D API とは目的に応じて使い分ける、という位置づけになるようです。
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