既にあちらこちらで耳にしていると思いますが、Adobe では Apollo というコードネームで新しい実行環境を開発しています。来週 US で開催される MAX で詳しい情報が公開される予定とのことなので、今のうちにこれまで公開されている情報をまとめておきたいと思います。
まず、Apollo の特徴は、Flash や AJAX といった Web の制作や開発で一般的に使用されている技術を使ったデスクトップアプリケーションの作成を可能にすることです。例えば、予め Apollo さえインストールされていれば、Flash で作ったコンテンツや AJAX アプリケーションをデスクトップにインストールして実行できるわけです。
また、通常デスクトップアプリケーションは固有の OS に依存した作りになりますが、Apollo アプリケーションは Apollo が OS 間の差を吸収するため複数の OS 上で動作させることができます。Flash Player はブラウザに対するプラグインですが Apollo は OS に対するプラグインという見かたもできるかもしれません。
さらに、デスクトップアプリケーションですから、ブラウザの制限のため Web アプリケーションでは使えなかった機能も利用可能になります。
さて、下の図は Apollo アプリケーションの構成を示したもので、Mike Chambers のプレゼンテーションから切り出したものです。オリジナルはこちらの URL にあります。(apollo presentation slides)
図の中心にある2つのボックスは Apollo が2種類のアプリケーションを可能にすることを示しています。
- Flash/Flex で開発したコンテンツ (HTML コンテンツをオーバーレイで表示)
- HTML/JavaScript/AJAX で開発したコンテンツ (中に Flash コンテンツを埋込)
PDF はどちらのパターンでも組み合わせられることになっています。
上図の下部には Apollo APIs というボックスがありますが、Apollo では OS の機能にアクセスするための API が提供されます。そのため、Apollo 用に機能を拡張して Flash/Flex アプリケーションを作りたい場合は、従来 Flash Player や Flex のフレームワークが提供しているおなじみ API に加えて Apollo の API を覚えればよいわけです。例えば 、ファイルシステムへ自由にアクセスを行い複数ウインドウをコントロールするアプリケーションとか、バックグラウンドで実行される常駐型のアプリケーションが可能になるでしょうし、また、他のアプリケーションとのドラッグ&ドロップやクリップボードの使用といったデスクトップ機能の統合も考えられます。
Apollo では Flash だけでなく HTML/JavaScript ベースのコンポーネントも作ることができます。この際の OS 間での互換性は HTML 表示&JavaScript 実行用に使われるエンジンに依存することになりますが、まだ特にどの技術を採用するといった類のコメントは出されていないようです。
現在 Apollo がサポートを予定しているプラットフォームは Windows と Mac OS X です。来年中には最初のバージョンのリリースができることをターゲットに開発が進められているようです。この記事の最初に紹介した Mike のプレゼンテーションでは年内に Adobe Labs にデベロッパー版を公開予定とありますが、最初は限定した範囲で始めるべきとのコメントもレポートされており(PC ADVISER の記事)、当面は待つことになるかもしれません。
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