このブログにもコメントを頂きましたが、AIR 3.4 のランタイムに更新すると ELS (Encrypted Local Store) 関連のエラーが発生するという報告が複数アドビに届いており、それを受けて、AIR 3.4 ランタイムの自動更新を一時的に中止する、という決断が下されたようです。
アドビによれば、この原因はバグではなく、ELS の安全性と安定性を向上させるための仕様変更であるとのことです。より高い安全基準を満たすために、従来の ELS データの継続利用は断念されたということのようです。 (3.4 EncryptedLocalStore Database Changes)
とはいえ、下位互換性の問題が発生する変更は、事前に十分な準備期間が与えられるべきですし、今回は、実質的に仕様変更の告知すら行われていない状態でした。今となっては、ラインタイム自動更新の中止は止むを得ない判断だと思われます。
さて、ここからが重要なポイントです。一見無責任にもみえる変更を何故アドビが気軽に行った (少なくともそう感じられる) のか、という点について触れておきます。
ELS の位置づけと利用方法
AIR チームとしては ELS を信頼できるデータの永続的な保管場所であるとは位置づけていないようです。実際、通常のファイルアクセスよりも操作が複雑な分、問題が起き得る箇所も多くなります。 (今回の変更も信頼性向上のために行われているとのこと)
そのため、ELS へのアクセスが失われてもアプリは動作するように設計することが推奨されています。
AIR チームからは、今回の状況を受け止めて、再度 ELS の仕様を見直す旨の発表も行われています。しかし、変更の理由を考えると、ELS が従来の仕様に戻ることは無さそうです。
とすると、現状 ELS が存在することを前提につくられているアプリは、近い将来の変更に向けて、早めに仕様変更の検討を準備しておいた方が良いかもしれません。
なお、次に ELS の変更が行われる際には、事前の告知を確実に行いたい、その際にはテスト用のバージョンも提供したい、とのコメントが AIR チームのブログに書かれています。ですので、今回のようにいきなり変わることは無さそうです。
AIR 3.3 ラインタイムへの復帰方法
最後に、既に AIR 3.4 にアップデートされた環境を AIR 3.3 に戻す方法です。
まず、Windows 環境の場合は、
- スタートメニューからコントロールパネルを開く
- "プログラムと機能" を選択
- “Adobe AIR” を選択
- アンインストールボタンをクリック
- AIR 3.3 ランタイムをインストール (http://download.macromedia.com/air/win/download/3.3/AdobeAIRInstaller.exe)
次に、Mac の場合は、
- アプリケーションフォルダ内のユーティリティフォルダを開く
- “Adobe AIR Uninstaller” をクリックしてアンインストールを実行
- AIR 3.3 ランタイムを実行 (http://download.macromedia.com/air/mac/download/3.3/AdobeAIR.dmg)
AIR 3.4 SDK は引き続き使用できます。特に、キャプティブランタイムを使用している場合は、今回の変更にご注意ください。
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