Adobe AIR テクノロジープレビューの公開

先日公開された AIR 3.4 の一部改良版が 2 種類、テクノロジープレビューという位置づけで公開されました。 (Adobe AIR Technology Previews@Labs

具体的には、以下の 2 種類の SDK が公開されています。

  1. 新しい ActionScript コンパイラ (ASC 2.0) プレビュー版を同梱したバージョン
  2. iOS 6 に対応したバージョン

どちらも同じページからダウンロードできます。(Adobe AIR Technology Previews@Labs Downloads

まだ正式に公開されたものでは無い点にご注意ください。例えば、上のリンクからダウンロードした SDK で開発した iOS 6 の機能を使った AIR アプリを公開することは出来ません。

ちなみに、AIR 3.4 SDK は iOS 4.2 から 5.1 をサポートします。今回の iOS 6 対応版の公開は、iOS 6 の開発者向け SDK との動作確認が主目的だと思われます。

ASC 2.0 同梱 SDK の方は、新しいコンパイラの動作確認のための公開ということかと思います。昨日の記事でお伝えした Flash Builder 4.7 ベータでは、この AIR SDK が標準として付いてきます。

なので、公開されている AIR 3.4 SDK をダウンロードすれば、正規の AIR 3.4 アプリの開発も可能ということのようです AIR 3.3 SDK で上書きしない限り新しいコンパイラが使用されるようです)

ASC 2.0 は、コマンドラインツールとして SDK の bin フォルダ内に提供されています。更に、引き続き Ant から利用できるよう、おなじみの mxmlc や compc が Ant タスクとして呼び出せるようになっています。 (ant/lib/flexTasks.jar 内に定義)

mxmlc=com.adobe.flash.compiler.ant.MXMLCTask
compc=com.adobe.flash.compiler.ant.COMPCTask

一方、Flex アプリのコンパイルには未対応です。mxmlc はいまや Apache の持ち物なので、mxmlc 自体を Falcon ベースに移行するかは Apache 側の判断次第ということなのだろうと推測されます。

ASC 2.0 の改良点

ASC 2.0 は従来の ActionScript コンパイラと比べて、以下の様な特徴を持っています。

  • コンパイル性能の向上
    • コンパイルの高速化
    • 作業に必要なメモリの削減
  • コードの最適化機能の追加
    • コードのインライン化
    • 不要なコードの自動削除
    • 関数呼び出しのオーバヘッド削減
  • 新機能の追加
    • goto キーワードを追加
    • SWF 13 の LZMA 圧縮をサポート

ということで、コードによっては ASC 2.0 に切り替えるだけで明らかな高速化が体験できるケースがあるかもしれません。

エラーメッセージは既に日本語化されているようです。まだ、翻訳の間違いはがあるかもですが。

ASC 2.0 の変更に関する注意点

ASC 2.0 では [Embed] を使ったフォント変換の機能が削除されました。そのため、フォントの埋め込みは、Flash Professional や fontswf (AIR SDK に含まれています) を使って、別途 SWF 化する作業が必要になります。

また、 [Embed] 等で指定するアセットへのパスが相対指定の場合、読み込んでいるファイルからのパスとして扱われます。ソースのルートからのパスとして指定したい場合はパスをスラッシュ '/' で始めます。

それと、昨日の記事で触れたように、コンパイラの動作自体の変更もあります。いくつか列挙すると、

  • [1, 2].length はコンパイルエラーになる (リテラルを頭に使えない)
  • function f(p:*) { const p:*; } はコンパイルエラーになる (引数と const の名前が重複)
  • function f(x:int){ var x:int = x; } はコンパイル時に警告対象となる (引数とローカル変数の名前が重複)
  • f().a += 1 では f() が 1 回だけ呼ばれる (左辺の評価基準の厳密化)
  • const i; i++; がコンパイルエラーになる (const の値は変更できないため)

などといった感じです。

英語ですが、変更点の一覧が公開されていますので、そちらもご紹介しておきます。 (ActionScript Compiler 2.0 Backward Compatibility

 

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