アドビから Flash Player プレミアム機能 (つまり有償の機能) について、発表が行われました。 (Adobe Flash Player Premium Features for Gaming)
2012 年の 8 月 1 日以降、プレミアム機能の商用利用にはライセンスが必要になります。ただし、これは Flash Player 向けのコンテンツのみに適用され、同じ機能でも AIR アプリ (デスクトップもデバイスも) では自由に利用できます。また、売り上げが 5 万ドル以下のコンテンツは対象になりません。 (レートがどのように扱われるかはまだ不明)
今回有償化の対象となるのは、以下の 2 つの API をどちらも使用するコンテンツです。
- ApplicationDomain.domainMemory
- Stage3D.request3DContext
これだけなら殆どの Web コンテンツに影響し無いかもしれません。今後新しいプレミアム機能が追加されるとしても、おそらく、ハイエンドのゲームを主ターゲットにしたものになりそうです。
ライセンスの取得方法の詳細は、夏までに発表されるとのことです。
ドメインメモリが必要になる場合
プレミアム機能の条件に出てきた、ドメインメモリ (ApplicationDomain.domainMemory) はあまり聞き慣れない言葉かもしれません。
これは、アプリケーションごとに割り当てられるメモリ空間で、大量のデータを高速に処理する場合などに適しています。例えば、高度な 3D データを扱うケースでは有効だと考えられます。
具体的には、Alchemy や Unity といった技術がドメインメモリを使用している様です。従って、これらの技術と Stage3D を使用する Flash コンテンツは、今年の 8 月以降、ライセンスの対象になるでしょう。
Flash Player 11.2 以降、デバッグプレーヤ上でプレミアム機能を利用するコンテンツを再生すると、ライセンスが必要な旨の通知が表示される様になります。これにより、制作者は、開発に使用するフレームワーク等が、プレミアム機能を使用しているかを知ることができます。
今年の 8 月になるまでは、デバッグプレーヤ使用時の警告の他には、特に影響は無いとのことです。
8 月以降は、ライセンスを取得しない状態でプレミアム機能を利用するコンテンツを再生すると、Stage3D はソフトウェア描画が自動的に選択され、GPU を利用した高速な描画は行われません。これは通常配布されている Flash Player (デバッグプレーヤではない)の仕様だそうです。
ここまでをまとめると、
- プレミアム機能のライセンス料が発生する条件は、以下の 3 点が揃うこと
- Stage3D とドメインメモリの両方を使用して
- Flash Playre 向けにパブリッシュして
- 売り上げが 5 万ドルを超える
- プレミアム機能は、ライセンス料が発生しなくても、ライセンスを取得しないと使えなくなる(プレミアム機能を使えるようにするためのツールが、ライセンス取得者には提供されるという話があるようです)
ということになります。
といっても、今回はソフトウェア描画にフォールバックするので、ライセンスを取得しなくても、コンテンツが動かないという事態にはなりません。今後、新しく登場する機能がプレミアム機能とされる (つまり 1-1 の条件が変わる) ことはありそうですが。
課金情報
アプリケーションの売り上げが 5 万ドル (約 400 万円) を超えた場合、税金支払い後の金額の 9 % が、プレミアム機能の使用料になるようです。売り上げの対象には、アプリケーショ自体の売り上げ以外にも、スポンサーや広告収入などが含まれます。支払いの経費や SNS の使用料は課金の対象外のようです。
また、前述のとおり、Stage3D とドメインメモリの両方を使用した Flash Player 向けのコンテンツのみが対象になります。
(FAQ より)
上の図を信じる限り、課金の対象は 5 万ドルを超えた分だけのように見えます。とすると、売り上げから 5 万ドルを引いて、そこから税金と手数料も引いて、その残りの 9 % が課金額ということになります。
ただ、"売り上げ" の定義を含め、まだはっきりとした話は書かれていないので、詳細が発表される夏まで結論は待つことになりそうです。
本日、この発表と合わせて、Unity との協業も発表されています。 (Unity & Flash update)
Unity の Flash のアドオンに課金するというモデルは変わらない様です。一方、Unity3D の使用には、アドビとのライセンス契約が必要になるようです。
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