先週の Adobe MAX では、Flash Professional の次のバージョンに関する情報が公開されました。
この記事では、主な項目を整理してお伝えします。AIR 3 の新機能への対応、Stage3D (Starling) 用の機能追加、HTML 書き出しなどが追加候補になっている様です。
なお、以下は現時点での情報で、製品出荷時に実装されている保証はありません。また、個々に記述されていない追加・修正もあると思います。その点は了解の上お読み下さい。
では、具体的に、
AIR 3 対応
AIR 3 の新機能の ANE と Captive Runtime に対応します。
といっても、Flash Pro で Objective-C が書けるようになるとかいう話ではなく、
- 別の環境で開発されたネイティブのモジュール (.ane ファイル) を、ActionScript 設定パネルから、通常の SWC と同様の手順でライブラリパスに追加できる
- すると、AS エディタ内で ANE ファイル内に定義されたメソッドのコードヒントが使える
- ANE を利用する Fla ファイルがパブリッシュできる
という変更です。
Captive Runtime に関しては、パブリッシュ設定で AIR ランタイムを含めるか、選択できるオプションが付くようです。
新しいランタイム対応の改善
先日の記事で Flash Pro で新しい Flash Player や AIR を利用するための環境設定方法を書きましたが、その記事でも触れたように、原稿の Flash オーサリングには、以下の制限があります。
- 新しい Flash Player のテストをショートカットキーもしくはメニューから呼び出せない
- 複数のバージョン AIR SDK の利用が難しい (特定のディレクトリの上書きのみ)
Reuben では、これらの問題が改善されるようです。
Flash Player の件に関しては、テストメニューにブラウザで実行するというオプションが追加される様で、いつものショートカットキーで、ブラウザが起動されるようになるようです。
新しいバージョンのテスト用途以外にも、ブラウザにはデバッグ版ではなく通常の Flash Player を入れておいて、デバッグ時はオーサリング内、パフォーマンスチェックにはブラウザ内という使い分けができるようになりそうです。
AIR の方に関しては、まだ詳細を設計中で、具体的な話はできないとの話でした。
HTML 書き出し
以前、Wallaby という FLA を HTML/CSS/JS に変換するツールが Adobe Labs に公開されました。実際に試してみた方はいるでしょうか?
Wallaby で得たフィードバックを元に、Reuben では FLA から HTML に書き出すオプションが追加されるようです。そのため、パブリッシュのターゲットに HTML が追加されるようです。
タイムラインだけでなく ActionScript も変換の対象だそうですが、全てそのまま変換される訳ではありません。この辺り、Wallaby を試した方は分かると思いますが、
- まだまだ HTML5 では出来ないことがいろいろとある
- HTML と Flash は DOM の構造が異なる
辺りがが大きな壁となっているようです。
そのため、ターゲットを HTML に設定すると、UI 上の使用できない機能は薄いグレーの表示に変わり、操作できなくなるとのことでした。
HTML 書き出しのフォーマットは Edge で読み込めるものとなるようです。上で書いたように、書き出せる表現に制限があるため、ラウンドトリップを実現することが目的ではなく、
- 既存の FLA がある場合に Edge での作業をゼロから始めるのは避けたい
- 最初のプロトは Flash で進めておいて、iOS 用に仕上げる作業を Edge で行う
という使い方が想定されているようです。
スプライトシートと PNG シーケンス
Stage3D が使えるようになったことで、今後は制作にビットマップを利用したいケースが増えるかもしれません。(GPU と相性が良いのはとにかくビットマップです) ということで、ムービークリップをスプライトシートとして書き出す機能が追加されるようです。
スプライトシートは、複数のビットマップ画像を一枚の大きなビットマップに並べたものです。一気に GPU メモリに転送しておいて、キャッシュから必要な部分だけを利用することで、描画処理を高速化するのに使われます。2D フレームワークの Starling もスプライトシートの利用を前提としています。
Rueben では、ムビクリの各フレームをスプライトシートに書き出せるようで、ステージもしくはライブラリからシンボルを選択、右クリックしてスプライトシート書き出しを選択、というワークフローがデモされていました。
スプライトシートはキャンバスや CSS アニメーションでも利用されるので、Flash Pro でベクターアニメーションを作成し、それをスプライトシート経由で HTML ページに表示する、という使い方も出来そうです。
その他、ムビクリを PNG シーケンス (各フレームをビットマップ化し、連番の付いたファイルとして書き出す) に変換する機能もつくようです。こちらはビデオ素材などの使い方が想定されているようでした。
HBAPI (新しいツール機能拡張 API)
これは、Flash Professional だけでなく、全 CS 製品共通の変更ですが、製品を外部から操作して機能拡張を実装するための新しい API が追加されるようです。
この API は ActionScript から使えるということなので、ツールを連携させてバッチ処理なども ActionScript で書けるのかもしれません。
あまり具体的な話は無かったのですが、もしかすると機能拡張の作り方も変わるかもという気がします。
Reuben の更に先のお話
次期バージョンである Rueben の更に先、つまり次々期バージョンの話も少しだけ聞くことが出来ました。それによると、ようやく、64 bit 化とネイティブの Cocoa 対応が行われるようです。
アーキテクチャーレベルからの見直しになるため、今のツールよりも格段に使い易いツールになりそうです。現状では、シェイプの形を変えたり塗りを変更する際、一度クリックした後にその結果を確認するという手順になりますが、"次の次のバージョン" ではドラッグしている最中もリアルタイムでステージが更新されるため、結果を見ては修正を繰り返すことがなくなりそうです。
また、エディタも全く新規で作り直すという話でした。Flash Builder 的な高機能なエディタではなく、ビジュアルツールのエディタとして意味をなす機能を持ったものにしたい、と話していました。
これは凄く楽しみ!
Reuben本当に速く出て欲しいです。
絶対予約買いします。
毎回、有用な情報ありがとうございます。
非常に助かってます。
今、AIR3 + CS5.5 + Flex(FlashBuilder) でむりくりネイティブExtensionを組み込んでいるので、FlashProの次期バージョンが本当に楽しみです!