先月発表された Flash Builder 4.5 と Flex 4.5 SDK のアップデートが公開されました。新しいバージョンは 4.5.1 で、4.5 の無償アップデートという位置づけです。（Updates/Flex Support Center）
4.5.1 の主な新機能は、以下の 2 つです。
- Flex モバイルフレームワークの iOS 対応 （最適化）
- AIR 2.7 の iOS 向けパッケージング機能の統合
どちらも iOS 関連の機能拡張です。
もちろんバグフィックスも行われています。
Flex 4.5.1 SDK も Flex 4.5 SDK に引き続き、AIR 2.6 をベースにしています。そのため、アコースティックエコーキャンセルなどの AIR 2.7 から追加された新しい API は使用できません。
AIR 2.7 の新 API を使うには、AIR 2.7 SDK をダウンロードして Flex SDK を上書きします。ただ、このような使い方はサポートされていません。あくまで自己責任でお願いします。
... などと書きながら、主要な新機能の 2 つ目に 2.7 と書かれていますよね？ という点を以下に少し説明します。
Flex フレームワークの iOS サポート
Flex モバイルフレームワークは、Flex 4.5 SDK から追加された Flex の新しい機能です。モバイルデバイス向けの Flex アプリを開発できるように、タッチ操作に対応した専用コンポーネントや新しいテーマなどが提供されました。
しかし、Flex 4.5 SDK の公開時点では、まだ Flex モバイルフレームワークは iOS 向けに最適化されていませんでした。（Android のみ） 言い換えると、Flex モバイルフレームワークは、AIR 2.6 SDK に完全には対応していなかったということになります。
そこで今回のアップデートでは Flex モバイルフレームワークの iOS 向けの最適化が行われました。あわせて、エディタである Flash Builder 4.5.1 も、iOS 関連のオプションを設定できるよう変更されました。
これでようやく、Flex モバイルアプリの Android と iOS （と Blackberry Tablet OS） への書き出しが正式にサポートされたことになります。
ちなみに、Flex 4.5 SDK でも、ActionScript モバイルプロジェクト （Flex フレームワークを使用しないプロジェクト） であれば、iOS 書き出しがサポートされていました。繰り返しになりますが、今回の更新は基本的に "Flex フレームワーク" の iOS 対応です。
（ということで、Flex 4.5.1 SDK は AIR 2.6 SDK ベースのままです。上でも触れましたが、AIR 2.7 の新しい API は使用できませんのでご注意ください）
iOS 向けパッケージング機能の更新
さて、前述のように、Flex 4.5.1 SDK は AIR 2.6 SDK をベースとしています。しかし、iOS 用のパッケージングだけは AIR 2.7 SDK の機能が使われます。これは、Flash Builder 4.5.1 の新機能です。
AIR 2.7 SDK のパッケージング機能を利用するため、アプリケーションは、AIR 2.7 ランタイムの iOS 向けのパフォーマンス最適化の恩恵をそのまま受けられます。パフォーマンスが気になる、という理由だけであれば、Flex 4.5.1 SDK を AIR 2.7 SDK で上書きする必要はありません。
また、Flash Builder から iOSへの 書き出し時に、高速コンパイルのオプションを選択できるようになっています。高速コンパイルを選ぶと、AIR 2.7 のインタプリターモードになります。
すると SWF ファイルのネイティブコードへの変換が行われないため、従来に比べ短時間で書き出し処理が終了します。これは開発の効率改善に役立ちそうです。
というように、Flash Builder 4.5.1 と Flex 4.5.1 SDK は、特に iOS をターゲットとした開発を行う人に役に立つアップデートです。
