Flash Player 10.1 のハードウェアを利用した描画機能 (H.264編)

現在ベータ 3 が公開中の Flash Player 10.1 (Flash Player 10.1@Labs) ですが、新しく追加された機能の一つに 「ハードウェアを利用した描画処理」 があります。

これは、グラフィック描画関連処理の高速化と、必要なリソースや消費電力の削減を目的としたものです。具体的に、新しいハードウェアによる描画機能には、以下の 2 つ

  1. H.264 ビデオのハードウェアによるデコード
  2. GPU によるグラフィックスの描画

が含まれています。今回は 1 つ目の H.264 ビデオのデコード機能についてのまとめです。

従来、Flash ビデオにとって H.264 は品質が高い一方デコードが重たくなりがちという難点がありました。が、Flash Player 10.1 では GPU 等のハードウェア機能を使ったデコードができるため、CPU に負荷をかけず且つ高速に H.264 ビデオ再生が可能になるというものです。

スマートフォンやネットブックなどの非力な環境では特にありがたい機能になりそうです。

サポートされる環境

まず、ハードウェアを使った H.264 ビデオのデコードは全ての環境でサポートされるわけではありません。

特定のハードウェアに適切なドライバーが組み合わされた環境でのみ正しく動作します。サポートされるハードウェアのリストはベータ版のリリースノート (Flash Player 10.1 public beta release notes) をご覧ください。この記事の最後にもコピペしておきます。

ベータ版の Flash Player 10.1 はドライバーのバージョンチェックを行わない (つまりサポートされない環境でもハードウェアデコードを行ってしまう) ため、環境によっては Youtube を見ようとした瞬間にブラウザが落ちる、といったことが起きる可能性があります。その場合、そもそもハードウェアがサポートされない古い PC をお使いであれば、とりあえずコンテキストメニューから設定パネルを開いて "ディスプレイ" タブ内のチェックをオフにしておきましょう。

(Flash Player 10.1 の正規版では、正しいドライバがインストールされているかをちゃんと確認した後でハードウェアを使ったデコードを行うそうです。ですのでこの件はベータ版だけでの注意事項ということです)

一方、ハードウェアデコードがサポートされる環境のはずなのに再生された映像が怪しいという場合はバグかもしれません。こちらの PDF (Instructions for reporting video bugs) を参考にバグレポート (英語しか受け付けて貰えないようですが) を急いで送りましょう。

なお Flash Player 10.1 では、Mac OS X と Linux 版でのハードウェアデコードはサポートされません。Linux 上では必要な API の標準がまだ確立されていないため、OS X 上では必要な API の利用方法が公開されていないため、が理由との事。将来のバージョンでのサポートは引き続き検討される、だそうです。

デスクトップ上とデバイス上での違い

デスクトップ上での使用

  • 大抵のデスクトップのハードウェアは複数の H.264 ストリームを平行して処理できます。もし、ハードウェアが追加のストリーム処理を行えない場合は、Flash Player がソフトウェアによるデコードを行います
  • H.264 にはいくつかのプロファイルがありますが、一般的にデスクトップのハードウェアはベースラインだけでなく、メインやハイプロファイルもサポートします

デバイス上での使用

  • サポートされるプロファイルは限定され、ベースラインのみだったり、大きさの上限を決められたメインプロファイルだったりします
  • 多くのデバイスは複数 H.264 ストリームのデコードをサポートしません。追加のストリームはソフトウェアでデコードされることになります
  • ソフトウェアでデコードした場合のフレームレートは低くなる(10 fps に達しないことも)

(参考) サポートされるハードウェアリスト

AMD/ATI

  • Radeon HD 4xxx (and higher)
  • Mobility Radeon HD 4xxx series (and higher)
  • Radeon HD 3xxx (and higher)
  • FirePro V3750, FirePro V7750, FirePro V8700, and FirePro V8750 (and later)
  • starting with version 9.11 for the ATI Radeon™ family of products
  • driver release 8.68 for the ATI FirePro™ family of products.

For the latest AMD/ATI drivers, see http://support.amd.com/us/gpudownload/Pages/index.aspx. For some mobile and notebook systems, drivers may only be available from the OEM directly. Notebook drivers are not available from the AMD website.

Broadcom

  • Broadcom BCM70012
  • BCM70015

Driver support is available at http://www.broadcom.com/support/crystal_hd.

Intel

  • Intel 4 Series Chipset family
  • the all New 2010 Inte® Core Processor Family with Inte® HD Graphics
  • Atom/Intel GMA 500 chipset
  • starting with the graphics driver version 15.16.5.2021(8.15.10.2021) for 32/64-bit Windows Vista and Windows 7
  • For the Atom/Intel GMA 500 chipset, starting with the graphics driver version 5.2.1.2020 (8.14.10.2020) for 32-bit Windows® 7

The drivers are available at http://downloadcenter.intel.com/default.aspx.
Automatically detect the latest driver for your system by using this link: http://www.intel.com/support/graphics/detect.htm.

NVIDIA

  • NVIDIA ION
  • NVIDIA GeForce
  • Quadro-powered PCs

The latest drivers are available at http://www.nvidia.com/drivers, and the latest list of supported GPUs is available at http://www.nvidia.com/object/gpus_supporting_adobeflash.html.

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