最近質問を受けたので見てみたら Flash のヘルプドキュメントが古いのに気づいたので今日はこの話題です。(LiveDocs の AS3 リファレンス は最新です)
さて、まず下の例を考えてみます。
var foo:Boolean = true; var bar:Object = {}; trace(foo && bar); // 論理積 : 出力は [object Object] trace(foo || bar); // 論理和 : 出力は true
論理積と論理和の結果は、演算子の左側の式 (この場合は foo) の値で決定されます。ごく単純化すると、ルールは
論理積 (&&) : 左側の式が false なら左側の式の値、true なら右側の式の値 論理和 (||) : 左側の式が true なら左側の式の値、false なら右側の式の値
です。つまり、実際に論理演算が行われているわけではないのですね。演算結果の値も Boolean 型になるとは限りません。
さて、AS3 のプログラムでは Boolean もオブジェクトなので、左側の式を評価した後その値の型が何であっても同じルールを適用することができます (されます)。とにかく左辺の式を評価したら、結果を Boolean 型に変換して値を参照します。
それぞれの型を Boolean 型に変換した場合の値は以下のようになります。
Undefiend false Null false Boolean 変換前のオブジェクトと同じ Number 0 または NaN は false それ以外の値は true String 空文字列は false それ以外の値は true Object true
ここで左辺が Boolean 型にならない例をひとつ。
var foo:String = "Hello"; var bar:Object = {}; trace(foo || bar); // 出力は Hello
"Hello" は空文字列でないため Boolean 型に変換した際の値は true になります。この例で使われている演算子は論理和 (||) なので、左側の式 (foo) の値が出力されるわけです。
論理積と論理和を使った条件文
上で記述したルールから想像されるとおり、論理積や論理和の演算において、演算子左側の式は必ず評価されますが、右側の式は左側の値次第で評価されたりされなかったりします。たとえば、論理積において、右側の式が評価されるのは左側の式の値が true の場合のみです。
この振る舞いを、条件文の代わりに使うことも可能です。たとえば以下の 2 つは同じ意味を持ちます。
1. if 文で記述 if (foo) { doSomething(); } 2. 論理積で記述 foo && doSomething();
この例とは逆に、ある条件が偽の場合のみ実行したい場合には、論理和 (||) を使うことができます。
論理積や論理和が if 文と交換可能であることは以下の例のほうが分かりやすいでしょうか。
1. if 文のみで記述 if (foo) { if (bar) { sayHello(); } } 2. if 文と論理積で記述 if (foo && bar) { sayHello(); } 3. 論理積のみで記述 foo && bar && sayHello();
else 文には論理和で対応できます。複雑な条件になってくるとこんがらがりやすいので積極的にお勧めはしませんが。
&&= 演算子と ||= 演算子
特に、オブジェクトを Boolean 型に変換したときの値により代入を制御したい場合には &&= と ||= 演算子が用意されています。&&= は左側のオブジェクトの値が真の場合のみ、||= は値が偽の場合のみ右側の式の評価と左側のオブジェクトへの代入を行います。
下の例では 「foo の値が空文字列以外の文字列だったらタグに変換する」 という条件を 2 種類の方法で記述しています。
1. if 文で記述 if (foo) { foo = "<" + foo + "/>"; } 2. &&= 演算子で記述
foo &&= "<" + foo + "/>";
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