Flash Player 10 の GPU サポートについて Flash Player チームのスペシャリストの Tinic が blog で説明しています。(What does GPU acceleration mean?) 現時点での貴重な情報なので、ポイントのみですが以下かいつまんで和訳してみます。
Flash Player 10 から wmode に direct と gpu の 2 つのモードが新しく追加されます。(Flash Player 9 では、normal, transparent, opaque の 3 つ) それぞれのモードの動作は、
- direct モード : 画面に最短パスで描画したい時に使います。このモードでは、ブラウザが表示する領域と Flash Player の表示領域が重なっても大抵ブラウザ側が無視されます。ビデオ再生での使用が主に想定されています。
- gpu モード : グラフィックカードの機能を利用して描画オブジェクトの合成を行います。個々のムービークリップの描画は従来どおりソフトウェアが行います。
これらの新しい GPU サポートモードを利用する前には、まず下記の注意事項をご覧ください。
1.グラフィックカードの機能を使用したからといって必ずしも描画が早くなるわけではありません。むしろ、遅くなる場合のほうが多い可能性もあります。GPU の効果を引き出すには、コンテンツをデザインする際 GPU の動作を理解しそれに合わせて設計する必要があります。そのためのデザイナ向けのガイドはできるだけ早い時期に提供できるようにしたいと考えています。
2.GPU の効果を体感するにはそれなりに高速なビデオカードが必要です。Vista の Aero Glass モードでも重たく感じない程度のスペックが目安になるようです。
3.ピクセルレベルでの表示は環境により変わる可能性があります。(テキストのエッジがぼやけた感じになるとか) 場合によっては色が一致しないこともあるようです。Flash Player から表示をコントロールできない範囲でビデオカードが処理してしまうとこのようなことが起こります。
4.フレームレートの最大値は画面のリフレッシュレート以下に制限されます。フレーム落ちなども考慮すると、direct や gpu モードではフレームレートは実質 50-55 辺りまでになりそうです。
5.ブラウザ内に direct や gpu モードを利用してコンテンツを表示すると多くの CPU やメモリ資源を必要とします。ですので HTML ページのほとんどの表示領域を一つの SWF が専有するような場合のみ使用することをお勧めします。間違ってもバナーにこのモードを指定することは避けましょう。
6.GPU サポート機能はビデオカードのデバイスドライバと密接に関連しています。つまり、新しいモードではコンテンツ再生の環境依存度が高くなります。Flash Player はインストールされていてもコンテンツの表示できないユーザが少なからず出てくる可能性があるということです。
最後に、現在公開されているベータ版はパフォーマンスチューニングがまだ十分でないこと、まったく新しい機能のために多くのバグが予想されることをご理解のうえ、いろいろと試していただければと思います。GPU サポートに関しては最初の一歩を踏み出したところですので、今後だんだんと改良されていくと思います。
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